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12/05(Thu) 04:11
■ FX取引の税金と会社選び
FX取引での利益(為替差益、スワップ金利)は取引会社によって、非取引所FX(非くりっく365)、取引所FX(くりっく365)に区分され、税金は確定申告で申告することになります。多くの人は、FXで儲かった後に税金対策を考えますが、最初から節税を頭に入れた会社選びも重要です。
- 非くりっく365では、雑所得として総合課税になり、所得とFXの利益の合算額で税率(15〜50%)が決ります
- くりっく365の場合は、申告分離課税として、所得の大小に関わらず一律20%の税率となります
■ 職業別会社選び
投資家 | お勧めFX会社 | お勧めポイント |
【サラリーマン】 くりっく365 が有利 | インヴァスト証券
| ・年収550万のサラリーマンの場合、15−20%の税率と思います ・非くりっく365では課税所得とFXの利益の合算額で税率が決ります ・合算額が200万円または330万円を超えるとFXの利益だけでなく、給与所得の税率も20%、30%にアップします ・合算額が大きくなるほど、分離課税のくりっく365が有利です |
【年金生活者】 非くりっく365 が有利 | セントラル短資 外為どっとコム FXCMジャパン マネーパートナーズ ヒロセ通商
| ・年金生活者の場合、年金収入450万円以下であれば15%の税率です ・非くりっく365では課税所得とFXの利益の合算額で税率が決ります ・合算額が200万円以下なら総合課税15%の非くりっく365が有利です ・合算額が330万円を超えると、分離課税20%のくりっく365が有利になります |
【主婦・学生】 非くりっく365 が基本 | ・くりっく365では、FXの利益に対して分離課税20%の税金がかかります ・FXの利益が200万以下なら総合課税15%の非くりっく365が有利です ・38万円を超えると扶養者でなくなり所得控除や社会保険の適用から外れます |
※非くりっく365の試算
投資家 | 年収 | 世帯 | 課税所得 | 税率 | FXの利益と税率アップ | コメント |
サラリー マン | 550万円 | 標準世帯 | 199万円 | 15% | ・1万円超:15%→20% ・131万円超:15%→30% | FX利益が1万円以上なら分離課税20%のくりっく365が有利 |
夫婦世帯 | 275万円 | 20% | ・55万円超:20%→30% | 同上、ただし金額は55万円 FX利益が55万円以下ならどちらも同じ |
独身者 | 313万円 | 20% | ・17万円超:20%→30% | 同上、ただし金額は17万円 |
700万円 | 標準世帯 | 323万円 | 20% | ・7万円超:20%→30% | 同上、ただし金額は7万円 |
年金 生活者 | 250万円 | 夫婦世帯 | 39万円 | 15% | ・161万円超:15%→20% ・291万円超:15%→30% | FX利益が161万円以下なら総合課税15%の非くりっく365が有利 |
350万円 | 夫婦世帯 | 125万円 | 15% | ・75万円超:15%→20% ・205万円超:15%→30% | 同上、ただし金額は75万円 |
主婦・ 学生 | 0万円 | 扶養者 | 0万円 | 0% | ・20万円超:0%→15% ・200万円超:0%→20% | 同上、ただし金額は200万円 |
(注)・標準世帯:配偶者と子供2人を扶養、年金生活者は65歳未満の場合
・課税所得=給与(年金)収入額−給与(年金)控除額−所得控除額
・給与控除額=給与収入額×20(10)%+54(120)万円、年金控除額=年金収入額×25%+37.5万円
・所得控除額(社会保険料は30万円、生命保険料控除額は5万円、扶養・基礎控除の合計額は38万×人数)
■ 決済方法別会社選び
FX取引で得た利益は雑所得に分類され、課税の対象は年内に実現した利益に限定されます。会社によって売買システムが異なるため、ロールオーバーによる損益の値洗い方法によって課税対象(=実現利益)は以下のようになります。
(注)・複利効果:スワップや為替差益分を再投資できる
・損益調整:損益が毎日反映される会社(セントラル短資など)と反映されない会社(外為どっとコム、くりく365など) の複数会社で運用をしている場合、反映されない会社の損益で反映される会社の損失を相殺するため年末に 損益確定と反対売買を同時に行うなど。
■ FX取引の確定申告 〜 申告ノウハウは賢い確定申告の方法も参照
■ 外貨投資の税金
課税方式 | 総合課税 | 分離課税 | 非課税 | 申告分離課税 | 源泉分離課税 |
他の所得と合算 | 他の所得とは分けて計算 | 受取時に源泉徴収 | 課税なし |
確定申告 | 必要 | 必要 | 必要なし | 必要なし |
外貨商品 | 非くりっく365の利益 外貨預金の為替差益 外貨建債券の償還益 | くりっく365の利益 外国株の売却益 外国株投信の売却益 | 外貨預金の利息 外貨建債券の利息 外貨建MMFの分配金 外国株の配当金 | 外貨建債券の売却益 外貨建MMFの為替差益 |
■ スワップ派、為替差益派の節税方法
スワップ投資をする人は、毎年確実にスワップ金利での利益が出てきます。雑所得は年間20万円までは申告の義務がありません。FXの利益が年間20万以下の場合は、申告不要枠を活用した節税が可能です。
投資戦略 | ねらい | 節税ポイント |
スワップ派 | 雑所得20万円の申告 不要枠を活かす | ・ポジションを決済しなくてもスワップ金利を毎日受け取れる会社では、毎年のスワップ金利を申告不要枠を使って確定申告すれば、毎年20万のスワップ金利のみを受け取ってる場合、毎年の税金はゼロになります。 ・くりっく365のようにスワップ金利が何年も貯まってしまうFX会社では、ポジションを持ったままだとスワップ金利がポジションの損益として貯まっていきますが、決済しない限り「雑所得」とはされません。その年は税金がかからなくてよいのですが、翌年ポジションを決済すると「2年分のスワップ金利」にまとめて課税されます。 |
為替差益派 | 損をした時の税金対策 も頭に入れておく | ・くりっく365FX会社であれば、「損失の3年間繰越」が可能になります。損失を繰り越せると、翌年の利益から損失を差し引く事が出来ますので、節税対策上有利です。 |
■ 確定申告書類
FXについては、為替差益と利息に当たるスワップ金利(スワップポイント)ともに税金は確定申告で申告することになります。
- 非くりっく365(非取引所FX)の場合は、雑所得として総合課税(※)になり、その他の所得と合算して確定申告をしなければなりません。
- くりっく365(取引所FX)の場合は、申告分離課税として、所得の大小に関わらず一律20%の税率(所得税15%、住民税5%)となる他、損失を3年間繰り越すことができます。
国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書を作成する場合には、「所得税の確定申告書」→「申告書選択」で以下の申告書を選択します。
- 非くりっく365:「申告書A」
- くりっく365:「分離課税の申告書(申告書Bと申告書第三表)」、損失の繰越控除の適用を受ける時は「申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」
(※)税率
所得税は平成19年分(平成20年2月確定申告分)から新税率が適用され、住民税は平成19年分(平成19年6月徴収分)から新税率が適用されることになるため、平成18年の所得に対する課税はやや変則的になります。
【総合課税】 平成18年分 | | 平成19年分(平成18年度税制改正) |
課税所得額 | 税率合計 | 所得税 | 県民税 | 市民税 |
〜200万円 | 15% | 10% | 2% | 3% |
〜330万円 | 20% | 8% |
〜700万円 | 30% | 20% |
〜900万円 | 33% | 3% | 10% |
〜1,800万円 | 43% | 30% |
1,800万円〜 | 50% | 37% |
| ⇒
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課税所得額 | 税率合計 | 所得税 | 県民税 | 市民税 |
〜195万円 | 15% | 5% | 4% | 6% |
〜330万円 | 20% | 10% |
〜695万円 | 30% | 20% |
〜900万円 | 33% | 23% |
〜1,800万円 | 43% | 33% |
1,800万円〜 | 50% | 40% |
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【分離課税】 所得税(7%)、県民税(1%)、市民税(2%) | | 所得税(7%)、県民税(1.2%)、市民税(1.8%) |
■ 所得税の納税と還付 〜納税通知書は来ない
- 確定申告書さえ出しておけば、税務署から税金を納めるための納付書など、何かしらの案内が送られてくると思いがちですが、税務署からは納税通知は送られてきません。税務署や金融機関で、自ら金額や納付先の税務署名を記入して、支払わないといけません。申告と納税の両方を期限内に済ませないと延滞税がかかってきますので注意してください。
- 還付の場合は、確定申告書第一表に、振込先金融機関口座欄があるのでここに記入すれば3−4月頃に税務署から還付金が振り込まれます。
■ 住民税の納税と還付 〜納税通知書が来る
- 住民税の納付方法には「普通徴収(自分で納付する)」と「特別徴収(給与から天引き)」があります。サラリーマンで副業収入を勤務先に知られたくない場合は「普通徴収」を選択します。
- 普通徴収:6月頃に市町村役所から納付書が送られてきますので金融機関等で自分で納入します。
- 特別徴収:会社に通知が送られ給与から天引きされます。
- 所得税の還付を受けた場合は、住民税も還付されます。住民税分は今年の住民税と相殺され余った分が、7〜8月頃に所得税の振込先金融機関口座に還付されます。
■ FX取引の必要経費
雑所得では、その所得を獲得するために生じた必要経費の支出が認められています。その経費を確定申告の際に届け出ることにより、所得の総額から控除することが出来ます。計上した経費の領収書は確定申告には不要ですが、税務署から何か言われた(税務調査)際に、領収書や口座引落履歴など支払ったことがわかる証拠を出せるようにしておきましょう。
- 《支払手数料》売買手数料(確定していない売買手数料は計上できません)、入出金にかかる振込手数料
- 《通信費》プロバイダー使用料、電話代〜年間の全使用時間のどの位を外国為替取引のために費やしたかを計算し、計上します
- 《減価償却費》パソコンの購入費〜取得費20万円以上のパソコンは減価償却資産とされ、その取得費用を法定耐用年数(パソコンの場合4年)の全期間にわたり分割し、一定の割合で減価償却した額を必要経費とします。先のプロバイダー使用料と同様年間の全使用時間のどの位を外国為替取引のために使用しているかを計算し、計上します。10万円以上20万円未満のパソコンは、一括償却資産扱いとなり、取得額を3等分した額を将来3年間にわたって計上するようになります。
- 《図書費》為替取引に関する情報収集や分析のために購入した図書や金融専門の新聞代
- 《セミナー参加費》為替取引に関する情報収集や分析のためのセミナー参加費
- 《旅費交通費》セミナー等へ行くための交通費〜公共交通機関なら明細だけでOK、タクシー代は領収書が必要。
- 《会議費》取引会社の社員との飲食代〜為替取引に関する情報収集のため必要とされる会議や打ち合わせのための費用(主に軽い飲食費)
- 《消耗品費》筆記用具〜一般的には10万円未満の物品の取得費が含まれます。
■ 金融商品の損益通算ルール
金融商品によって、確定申告の損益通算ができるかが異なります。注意する点は投信です。投信は損失が出た場合は株の利益と通算できますが、利益が上がった場合、売却(買取請求)なら株の損失と通算できるのに対し、解約・償還(※2)を選択した場合、通算は認められません。
損失 | 課税方式 | 損益通算ができる他の金融商品 | 繰越 |
株式の売却損 | 10%申告分離 | 投信の売却益 | ○ |
投信の売却損 | 10%申告分離 | 株式の売却益 | ○ |
投信の解約・償還損(※1) | 10%源泉徴収 | 株式の売却益、投信の売却益 | ○ |
取引所FX(くりっく365)の損失 | 20%申告分離 | 先物・オプションの利益 | ○ |
先物・オプションの損失 | 20%申告分離 | 取引所FX(くりっく365)の利益 | ○ |
非取引所FX(非くりっく365)の損失 | 総合課税(雑所得) | 債券の償還益、外貨預金の為替差益 | × |
債券の償還損、外貨預金の為替差損 | 総合課税(雑所得) | 非取引所FX(非くりっく365)の利益 | × |
株式の配当金 | 10%源泉徴収 | × | × |
債券、外貨預金の利息、外貨建MMFの分配金 | 20%源泉徴収 | × | × |
債券の売却益、外貨建MMFの為替差益 | 非課税 | × | × |
※1投信の解約・償還益は「配当所得」となるので、株式の売却損、投信の売却損との通算は認められません
※2償還=信託期間が終わり払い戻されることで税制上は解約と同じ扱いになります
※3株式、投信、債券は外国株、外国株投信、外貨建債券を含みます
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